太陽光発電住宅が伝えたいこと
研究は、1990年代に入ってからドイツや英国でも実施されました。
これらの結果を、地球全体で平均した気温の変化について示したのが32です。
いずれも温暖化が年とともに進むことを示しています。
年率1%で増加する二酸化炭素が2倍になるのは、約7年後です。
その時の温暖化の計算値は、1.3ないし2.3℃です。
この値は、深層海洋を取り入れない場合と比べて予想通り小さくなっていて、約60%です。
二酸化炭素が2倍に増えたときの地球規模の温暖化の程度が、同じ条件の下で計算されたにもかかわらず、完全に一致しないで約1.3〜2.3℃というかなり大きい範囲にふぞろいになっています。
複雑な気候のことだからこの程度の不一致は仕方がないとして、気にとめない人もいるかも知れません。
専門家はこの不一致を真剣に検討しました。
気候の数値シミュレーションが基礎としている物理法則は普遍的なものですから、英語、日本語のいずれで書かれていても、その内容はまったく同じです。
また使用されたコンピュータも、メーカーが異なっていても、すべて同じように正しく計算できるはずです。
従って、同じ条件で複数の研究所で行なわれた数値シミュレーションの結果は、二酸化炭素は倍増時の温暖化の計算値が、せいぜい0.1℃の範囲で一致するものと期待されます。
この期待に反して、予測結果の不一致があまりにも大きいのです。
この不一致の原因を探るために、ニューョーク州立大学の気象学教室のロバート.セス教授が中心となって世界各国の数値シミュレーションに携わっている研究者が集まり、検討しました彼らは、宇宙へ出ている地球放射と地球にふりそそぐ太陽放射が変わったときに、各国の計算方式がどのような温度変化を示すかを相互に比較しました。
その結果は、0.4〜1.2℃雲は日射を反射したりして、地球の気候に大きく影響しています。
そのため、雲の影響を的確に計算することは、温暖化の予測にとって非常に重要です。
場所を数キロメートル移動すると、雲の形がすっかり変わってしまう場合が多いことは、飛行機や新幹線から空を眺め、また、気象衛星の雲写真を見たりすると気づきます。
現段階の気候の数値シミュレーションは、このような雲の詳細な状況を直接計算できないのです。
実際に計算するのは、300〜500キロメートルの間隔で設定した格子点と呼ばれる地点での状況だけです。
従って、格子点から離れた所の状況は直接計算されないので、100キロメートル以上も離れた格子点での計算値から推定することになります。
研究者は、数百キロメートルの間隔で設定された格子点での計算値から、はるかに小さい規模の雲の状況を、推定する方法を、それぞれの経験に基づいて考案していますが、その方法が研究者ごとにまちまちです。
これが、温暖化予測の程度に不一致を生じた最大の原因です。
この問題は、格子点間隔を現在の数百キロメートルから数キロメートルに縮めて、個々の雲を逐一コンピュータで計算できるようになると、解決できるかも知れません。
実行するために必要な計算量は、現在より100万倍以上に増えます。
このようなぼう大な計算量をこなすコンピュータは、まだ作られていません。
問題はこれだけではないのです。
空に浮かんでいる雲の形には、よく知られているように、実に様々なものがあります。
これらの雲が、地表面からの赤外線を吸収し、日射を反射.吸収したりする程度は、雲の形によってかなり異なっているのです。
それぞれの雲について、その反射.吸収の程度がどのくらいであるのか、まだ、充分に分かっていません。
米国やヨ−ロッパ諸国の大学や研究所では、専用の観測用航空機を所有していて、随時これを利用して雲の観測研究を活発に進めています。
一方、現在のところわが国のいずれの大学や研究所も、このような観測用の専用航空機を持っていませんので、民間の航空会社から航空機をチャーターして雲の観測をときどき実施しているに過ぎません。
今世紀の間には、これらの研究が実を結んで、日射や地球放射に対する雲の影響が明らかにされ、温暖化の予測がさらに向上するものと期待されます。
雲は、日射を反射して地球の吸収する日射を減らし、寒冷化の作用をしています。
他方、雲は宇宙に向けて地表面が出している赤外線を吸収し、温暖化に寄与しています。
温暖化の数値シミュレーションでは、このような雲の相反する作用を、正確に取り入れねばなりません。
気象条件によって、異なる形の雲が現れることは、日々経験していることです。
積乱雲のように、上空にまっすぐ発達する雲もありますが、他の多くの雲は限られた高さに発生します。
巻雲のできる高度は7〜13キロメートルで、この範囲にできるものは上層雲と呼ばれ、それより少し低い2〜7キロメートルの高度のものが中層雲です。
高さが2キロメートル以下の雲は下層雲と呼ばれています。
空の半分が雲に覆われていて残りの空には雲がないと仮定して、数値シミュレーションが行われました。
その雲がすべて上層雲の巻雲だとした場合と、すべて下層雲だとした場合とを比較しますと、下層雲だけの場合に比べて、巻雲の場合の地表面温度は、約10℃も高くなりました。
このように、気候は雲の高さに非常に敏感に影響されているのです。
現在の数値シミュレーションでは、成層圏も含んだ大気層を5ないし1の層に分解して計算を進めています。
前に述べた問題を解決するために、雲の高さを正確に計算できるように、数値シミュレーションの方式を改善しなければなりません。
した。
気候に対する雲の影響について、さらに厄介な問題が浮かび上がってきました。
雲粒が氷の結晶であるか、それとも「過冷却水滴」なのかを区別する必要があることです。
われわれの身近な状況では、氷点以下の低温の水はいつでも凍って氷になっています。
雲粒など空に浮かんでいるごく小さい水滴は、氷点以下の低温でも凍結しない場合が多く、「過冷却水滴」と呼ばれています。
雲粒の大きさは10ミクロン程度です。
このように小さい水滴は凍結しにくく、氷点下40℃でも過冷却水滴として空に浮かんでいる場合があります。
高さが10キロメートル以上の巻雲の中は氷点下50℃の非常な低温ですから、すべての雲粒は氷晶であり、過冷却水滴は含まれていません。
高さが数キロメートル以下の多くの雲では氷晶と過冷却水滴とが混じって存在しています。
雲が水滴の雲粒のみからできている「水雲」の場合は、氷晶のみの「氷雲」に比べると、日射をよく反射することが分かってきました。
英国気象局のジョン・ミッチェルらは、二酸化炭素が2倍になったときの温暖化の数値シミュレーションを、次の2つの場合について行ない、高温の時には雲粒は凍結しないで水滴の状態のままである、と仮定した「水雲」の場合の2例です。
氷雲の場合の温暖化は約5℃でしたが、水雲の場合には約2℃という結果でした。
このように水雲は、温暖化を緩和するように影響するのです。
また、水雲と氷雲の割合が温暖化の程度に大きく影響します。
気象衛星による観測が充実してきた現在でも、観測用航空機で雲の中に入って雲粒を採取しないと、雲の中に過冷却水滴がどの程度に含まれているのか、正確に判別できていないのです。
信頼できる温暖化予測のためには、この雲の特性を的確に数値シミュレーションに取り入れる必要があります。
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